18.自己破産について
自己破産とは、借金を返済できない方が、自己破産の申立を行い、破産手続開始・同廃止か
ら、免責決定を受けて借金が免除されるまでをいいます。
自己破産は、弁済の方策が尽きた場合の最終の手段ですが、多重債務に悩んでいる方に再起
するチャンスを与えるための制度でもあります。
自己破産では、車や不動産をなどを処分したり、保険を解約しなければならなくなる場合が
ありますが、
●戸籍や住民票に記載されることはありませんし。運転免許証や選挙権もそのままです
●日常の家財道具は保有できます
●生活保護、年金などの社会保障は、制限されません
●基本的には家族の将来を傷つけることはありません
●官報に掲載されますが、一般の人が見る可能性は低いでしょう
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18-1 同時廃止と管財事件
18-2 自己破産のメリット・デメリット
18-3 自己破産メモ
18-1 同時廃止と管財事件
1.同時廃止
預貯金・車などの財産額が20万円以下の場合、破産手続開始・同時廃止となる可能性が高
いです。
同時廃止の場合の手続きの流れ
裁判所に申立→(破産審尋)→破産手続開始・同時廃止決定→(免責審尋)→免責決定
(注)破産手続開始だけでは借金の帳消しにはならず、免責決定・確定によりはじめて借金
の免除となります。
2.管財事件
預貯金・車などの財産額が20万円を超える場合は、原則、同時廃止とはならず、財産の換
価・債権者への配当を行うことになります。
この場合、破産管財人(弁護士)を選任することになり、裁判所への予納金(最低20万円
、金額は裁判所からの指示による)が、別途、必要になります。
18-2 自己破産のメリット・デメリット
自己破産のメリット
1.唯一にして最大のメリットは、免責が確定した場合、借金の返済義務がなくなること
です。
自己破産のデメリット
1.持ち家、車、保険解約返戻金が高額の場合、その財産を保有できなくなる。
2.官報に掲載される。
3.ブラックリストに登録されるため、7~10年間は新たな借入れができなくなる。
4.生命保険外交員・警備員などの一定の職業制限がある。
5.管財事件の場合、海外旅行や引越しをする場合、裁判所の許可が必要になる。
18-3 自己破産メモ
1.取立てについて
自己破産手続きでも、司法書士などの専門家が受任すれば、債権者からの請求や督促は止ま
ります。
2.自己破産手続の期間について
同時廃止の場合、自己破産申立から手続の終了まで、3か月~5か月程度かかります。管財
事件の場合は、それよりも長い期間がかかります。
3.手続費用の準備・工面について
報酬部分の分割払い、法律扶助制度の活用があります。具体的方法はご相談下さい。
4.自己破産申立に際して準備する書類等
依頼者の方に準備していただく書類等は、
・債権者に関する資料すべて
・過去の職歴・借金に至った経緯などのメモ等
・収入に関する資料(給与明細表、源泉徴収書、所得証明書)
・財産に関する資料(預貯金通帳すべて、退職金見込額証明書、不動産の査定書、車の査
定書、車検証、保険証券、保険解約返戻金証明書など)
・家計調査表
・住宅ローン返済計画書
5.持ち家について
基本的に自己所有の土地、建物は処分しなければなりません。
6.アパート・公営住宅について
民間アパート・公営住宅など賃借人が自己破産しても、賃貸人から破産を理由に契約の解除
の申し入れはできません。ただし、賃料を延滞している場合は、賃貸借契約解除を要求され
る場合があります。
7.保証人について
債務者の自己破産により借金が帳消しになっても、保証人の責任は変わりません。自己破産
する場合は、保証人の理解を得る必要があります。また、保証人からの弁済に伴う将来の求
償債権を「債権者」として扱う必要があります。
8.私法上の不利益について
委任による代理人、後見人、遺言執行者等になることはできません。会社の役員(取締役等
)も、破産手続開始により、会社との委任契約が終了となり、退任することになります。た
だし、破産が役員の欠格事由ではないので、退任した後、再度、選任は可能です。
9.勤め先について
自己破産を理由に従業員を解雇することはできません。ただし、勤め先の会社に借金がある
場合や何らかの原因で会社に知れた場合、いずらくなることになるかも知れません。
【自己破産の費用】消費税込み | |
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報酬 | \165、000~ (※1) |
実費 (同時廃止) |
約¥20,000 (※1) 立手数料、予納郵券、官報公告費用、各種証明書取得費用など |
実費 (管財事件) |
¥200,000~ (上記同時廃止の実費に加えて) 裁判所予納金 |
(※1)分割払い可(要相談)