相続登記

1.相続登記について

相続登記とは、亡くなられた方の不動産を相続人名義に登記をすることを言います。

相続登記は、相続の開始後、できるだけ速やかに行った方が良いでしょう。

相続登記をせずに放置をしておくと
 ①不動産売却や新たな抵当権設定が事実上できない
 ②遺産分割協議が整ったとしても、他の相続人の気が変わって、共有名義に登記されてし
  まう危険がある
 ③第2、第3の相続が発生したため、権利関係が複雑になる
等が予想されます。

また、近い将来には、相続登記義務化の法改正が予定されています。

本ページの内容(項目をクリックすると表示されます)
 1-1.相続登記3つのケース
 1-2.相続登記のための必要書類、登記費用
 1-3.法定相続分とは
 1-4.法定相続分の留意事項
 1-5.相続に関する裁判手続き
 1-6.法定相続情報証明制度について
 1-7.配偶者居住権について


1-1.相続登記3つのケース

①法定相続を行う場合
 相続人全員が、法定相続分割合に従って相続する。共有となります。
 
②遺産分割を行う場合
 相続人のうち、一人または数人だけが相続するとか、法定相続分割合に従わ相続
 るときに、相続人全員で遺産の分配を協議することです。
 法定相続人全員で遺産分割協議書を作成し、署名・実印で押印する必要があります。

③遺言による相続を行う場合
 遺言者の指定した人が相続人または受遺者になります。
 遺言は、法定相続に優先します。

 

1-2.相続登記のための必要書類 、登記費用

①亡くなった方の12、3歳から死亡時までの全戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)
②亡くなった方の戸籍の附票、住民票除票、または不在住証明書
③対象不動産の権利証、固定資産税納税通知書、名寄帳
④相続人全員の戸籍謄本(または抄本)、戸籍の附票 各1通
⑤遺産分割の場合、遺産分割協議書、印鑑証明書各1通
⑥相続をする方の住民票
⑦遺言書、相続放棄申述受理証明書特別受益証明書
⑧本人確認情報(運転免許証、マイナンバーカード等)
⑨委任状

 ※上記①、②、③、⑥は司法書士が取寄可能、⑥は司法書士が文案作成可能です。

【相続登記の費用】

【登記費用】 消費税込み
報酬 \33,000~  (※1)
必要書類の作成 \5,500~
登録免許税 土地・建物の評価額×0.4%
実費等 戸籍謄本等、必要書類の取寄費用

※1 固定資産評価額2000万円以上は500万円毎に¥1,100追加
   不動産5個以上は1個毎に、権利者4名以上は1名毎に、¥1,100追加


1-3.法定相続分とは

①第1順位 配偶者2分の1、子2分の1
 ・子が複数いる場合の相続分は、均等
 ・子が相続開始前に亡くなっていた場合、代襲相続が発生し孫が相続人となります
 ・胎児も相続人となります
 ・非嫡出子と嫡出子の相続分は同じです(平成25年12月以降の相続)

②第2順位 配偶者3分の2、直系尊属3分の1
 ・直系尊属が複数いる場合の相続分は、均等
 ・直系尊属間では、親等の近い方が優先します

③第3順位 配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1
 ・兄弟姉妹が複数いる場合の相続分は、均等
 ・兄弟姉妹が相続開始前に亡くなっていた場合、代襲相続が発生し甥姪が相続人となります
 ・片親のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、全兄弟姉妹の相続分2分の1


1-4.法定相続の留意事項

①被相続人に遺言がある場合、その遺言が上記1-3の法定相続に優先します。
②相続を承認した場合(相続放棄をしなかった場合)、消極財産(負債等)も相続します。
③法定相続人であっても相続権を失う場合は、相続欠格者、廃除者(ただし、代襲相続あ
 )。
④その他の制度
  遺産分割協議、相続放棄、限定承認、遺留分請求、特別受益、寄与分、
  相続分の譲渡、相続分の放棄、配偶者居住権、特別の寄与 
⑤昭和56年1月1日以前に開始した法定相続は、現民法改正法前のため上記1-3の法
 相続分とは異なります。

 ※用語の解説
  非相続人:亡くなった方
  代襲相続:相続人の直系卑属(子)が、その相続人に代わって相続すること

 

1-5.相続に関する裁判手続き

相続に関連して以下の場合には、家庭裁判所へ申立をする必要があります。
当事務所では、依頼者の代理人となることはできませんが、家庭裁判所への提出書類を作成
いたします。

1.相続を放棄する場合
        「相続放棄申述事件」(審判)

2.相続を限定承認する場合
        「相続の限定承認申述事件」(審判)

3.相続開始後に自筆証書遺言を発見した場合(除く法務局保管)
       「遺言書の検認申立事件」(審判)

4.遺言で指定された遺言執行者がいない場合(辞任した場合を含む)
       「遺言執行者の選任申立事件」(審判)

5.相続人間で遺産分割協議が整わない場合
       「遺産分割調停申立事件」(調停)

6.親権者と未成年の子との間で遺産分割協議をする場合
       「特別代理人選任申立事件」(審判)

7.遺産分割協議をする相続人が判断能力を欠く場合
       「成年後見開始申立事件」(審判)

8.相続人が行方不明などその所在・生死が明らかでない場合
       「不在者財産管理人選任申立事件」(審判)
       「失踪宣告申立事件」(審判)

9.相続人の存在が明らかでない場合
       「相続財産管理人選任申立事件」(審判)

10.相続人不存在の時、特別縁故者が財産分与を申し出る場合
       「特別縁故者に対する相続財産分与申立事件」(審判)

11.遺産分割の際に、被相続人の財産増加に寄与した相続人が寄与分を求める場合
       「寄与分を定める処分調停申立事件」(調停)

12.相続人ではないが、被相続人の財産増加に特別の寄与をした者が寄与分を求める場合
       「特別の寄与に関する処分調停申立事件」(調停)

13.遺留分減殺請求を行った遺留分権利者が相当する財産の返還を請求する場合
    (令和元年7月1日以前に相続開始があった場合)
       「遺留分減殺による物件返還請求調停事件」(調停)

14.遺留分侵害額請求を行った遺留分権利者が相当する金銭を請求する場合
    (令和元年7月1日以降に相続開始があった場合)
       「遺留分侵害額の請求調停申立事件」(調停)

【相続に関する裁判手続の費用(書類の作成)】

【裁判費用】 消費税込み
報酬      (書類作成) 簡易なもの \22,000~
複雑・高度なもの \55,000~ 
裁判手続費用 手数料・予納郵券など数千円
実費等 戸籍謄本等、必要書類の取寄費用


 

1-6.法定相続情報証明制度について

法定相続情報証明制度とは、平成29年5月から始まった制度です。
概要は、法務局に法定相続情報一覧図(相続関係説明図)を備え、その写しを受けば、銀
行預金、不動産、自動車、有価証券などの相続の手続きに戸籍謄本等の提出に代えることが
できる制度です。

金融口座が多数ある方、複数の地方に不動産をお持ちの方などは、本手続きを利用るとメ
リットが大きいと考えられます。

当事務所では、法定相続情報一覧図の作成、法務局への保管、及び交付を取り扱っおりま
す。不動産の相続登記と同時に、または不動産の相続登記がなくてもお引き受けいたしま
。お気軽にご用命ください。

留意点
 ・一覧図には、全相続人の氏名、続柄、生年月日、現住所が記載されます。
 ・遺産分割、相続放棄などの結果は反映されません。
 ・2次相続以降は反映されません。この場合、被相続人ごとに一覧図を作成します。
 ・相続人以外は利用できません。
 ・再交付の申出期間は5年以内。

【法定相続情報証明に関する費用】

【手続費用】 消費税込み
報酬       登記申請と併せて 相続登記費用合計+\11,000
報酬      単独のご依頼  相続人5人まで \22,000
相続人6人以上 \33,000
実費等 戸籍謄本等、必要書類の取寄費用


 

1-7.配偶者居住権について

配偶者居住権は、民法改正により令和2年4月から施行された制度です。
成立要件は、
 ①配偶者が、被相続人の財産に属する不動産に居住していること、
 ②当該建物について、配偶者居住権を取得させる「遺産分割」等がされたこと、
となっています。

効果は、居住していた建物に、無償で使用及び収益をすることができる権利の取得、遺産
分割等の際に、配偶者が所有権を取得する場合よりも低廉な価額で居住権を確保することが
できるものとなっています。

この配偶者居住権は、所有権と同様に、登記をすることができます。
登記手続きにつきまして、その存続期間などの申請内容、申請時の添付書類など、気軽
ご相談ください。

【配偶者居住権設定の登記費用】

【登記費用】 消費税込み
報酬 \22,000~  (※1)
必要書類の作成 \5,500~
登録免許税 建物の評価額×0.2%
実費等 戸籍謄本等、必要書類の取寄費用
 ※1 固定資産評価額2000万円以上は500万円毎に¥1,100追加