成年後見

11.成年後見について

成年後見制度は、認知症・知的障害・精神疾患などにより、意思疎通が困難であったり、判
断能力の低下など援助が必要な方、または、現在はお元気ですが将来について不安な方の大
切な財産を守る制度です。

具体的には、施設入所などの契約の締結、介護・生活を維持すること、役所・金融機関等の
諸手続き、各種金銭の支払い・受取り等を本人に代わって行ったり、本人が誤った判断に基
づいた契約を締結した場合,それを取消したりして、不利益から守る制度でもあります。

また、本人の生活・療養看護の事務を行うにあたっては、可能な限り、本人の意志を尊重し
、かつ、その心身の状態、生活の状況に配慮しなければならないとされています。

当事務所では、以下の関係業務を行っております。お気軽にご相談ください。

1.法定後見
①成年後見・保佐・補助開始の審判申立書類の作成支援
②成年後見人、保佐人、補助人、監督人の受託

2.任意後見
①任意後見契約の締結に関するご支援
②任意後見監督人の選任申立書類の作成支援
③任意後見人、任意後見監督人の受託

本ページの内容(項目をクリックすると表示されます)
 11-1.こういう場合は成年後見制度を
 11-2.成年後見の種類
 11-3.法定後見制度に関して
 11-4.成年後見等開始申立のための必要書類、費用について
 11-5.任意後見制度に関して
 11-6.任意後見に付随する契約について

 

11-1.こういう場合は成年後見制度を

①最近、認知症の親が高額のものを次々買ったり、不要なリフォーム工事をしているようで
 心配。

②遺産分割協議をしようとしても、判断能力に問題があるため話し合いができない。

③知的障害の子供がいるが、親である自分が死んだ後の我が子が心配。

④本人が脳梗塞などで急に倒れ意思疎通が困難になったが、本人の各種支払い、財産管理な
 どを支援する方がいない場合。

⑤将来自分が認知症になることがあっても、安心して暮らしていきたい。

⑥一人暮らしで認知症の母の不動産を売却して、入院費用や施設入居費用にしたい場合。

 

11-2.成年後見の種類

1.法定後見
認知症などですでに判断能力が衰えている方に、後見開始の申立のもと、家庭裁判所が、成
年後見人を選任します。
成年後見人は、法律で定められた内容の権限をもって、家庭裁判所の監督のもと、各種事務
を行うものです。
判断能力に応じて「後見」、「保佐」、「補助」の3つの類型があります。

2.任意後見
自分が元気なうちに、誰にどんな後見業務を委託するかを、あらかじめ契約で決めておきま
す。契約書は公正証書で作成します。
自分の判断能力が衰えた時、申立により、家庭裁判所が任意後見監督人を選任して、任意後
見がスタートします。

 

11-3.法定後見制度に関して

1.後見開始の申立人について
後見開始の申立人は、本人、四親等以内の親族、市町村長などです。

2.管轄裁判所について
本人が実際に生活している場所の所在地を管轄する家庭裁判所。住民票の住所と異なる場合
があります。

3.「後見」、「保佐」、または「補助」はどのように決めるのか
基本は、申立書に添付する医師の「診断書」をもとに、場合によっては「精神鑑定」により
、最終的には家庭裁判所が決めます。
「診断書」は、後見開始申立専用の様式を使用しなければなりません。

4.成年後見人には実際どのような人たちが就任しているのか
成年後見人は家庭裁判所が選任します。①専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士)、②親
族、③社会福祉協議会・市民後見人、から選任されます。
人数的には、①専門職が多く、③市民後見人は、現在は少数ですが、先々は増えていくもの
と思われます。
②親族後見人は、申立書の「候補者」欄に記載して「候補者事情説明書」を添付し、裁判所
の審問を受けた上で、適任と判断された場合に選任されます。
また、財産が高額な場合、後見制度支援信託(または支援預金)の活用、場合により専門職
の後見監督人が選任される場合があります。

5.後見人の欠格事由は
①未成年者、②家庭裁判所で免ぜられた法定代理人等(親権喪失の審判を受けた親権者、解
任の審判を受けた後見人等)、③破産者、④本人に対して訴訟を起こした者等、⑤行方の知
れない者

6.一度開始した成年後見はいつまで続くのか
基本的には、本人(成年被後見人等)が亡くなるまでです。
先に成年後見人が亡くなった場合は、後任の成年後見人を選任することになります。

7.成年後見人の職務について
大別すると、①身上監護事務、②財産管理事務、③家庭裁判所への報告事務、があります。

8.身上監護事務について
本人の生活、療養看護(医療・介護・福祉)の維持・向上を目的に、本人にとって一番良い
居場所・生活環境は何か、本人の希望・意思を踏まえ関係者と協力しながら決定します。
そして、施設の入退所、病院の入退院、処遇の監視、介護サービス、住居の確保、生活のた
めの諸手続など、これらの事項に関する契約の締結・解除、履行の監視、費用の支払い等を
行います。
基本的に、契約等の法律行為をすることであり、実際の介護や食事の世話などをする事実行
為は含みません。
また、専門職後見人は、本人の親族ではないため、医療行為の同意権はなく、本人の連帯保
証人、身元引受人になることはできません。

9.成年後見人が本人の代理人としてできること
①預貯金に関する取引(口座の開設、払戻し、振込依頼、口座の変更・解約等)
②年金、各種手当金、その他社会保障給付の受領
③保険契約の締結・変更・解除、保険金の請求・受領
④介護サービス契約、及び福祉関係施設への入所に関する契約の締結・変更・解約、支払
⑤医療契約及び入院に関する契約の締結・変更・解約、入院費支払
⑥要介護認定の申請
⑦日用品の購入、その他生活に必要な機器・物品の購入
⑧不動産の購入・管理・処分
⑨賃貸借契約の締結・変更・解除、家賃・地代の支払い
⑩負債の返済
⑪公共料金の支払い、社会保険料の支払い、税金の申告・納付
⑫相続の承認・放棄、遺産分割、遺産の受領
⑬住民票・戸籍謄本その他行政機関が発行する証明書の請求
⑭上記各号の処理に要する費用の支払い、上記各号に関連する一切の事項

 

11-4.成年後見等開始申立のための必要書類、費用について

【成年後見開始申立のための必要書類】
①申立書
②本人の戸籍謄本、住民票または戸籍の附票
③申立人の戸籍謄本、住民票または戸籍の附票
④申立人が本人と四親等以内の親族であることをを証する戸籍謄本等
⑤後見人等候補者の住民票または戸籍の附票
⑥診断書、診断書附票
⑦本人情報シート
⑧申立事情説明書
⑨候補者事情説明書(候補者が親族の場合)
⑩親族の同意書
⑪登記されてないことの証明書
⑫財産目録とその確証書類
⑬収支予定表とその確証書類
⑭同意権、代理権を要する行為に関する資料(保佐、補助の場合)
⑮収入印紙(申立手数料、登記手数料)、予納郵券、場合により鑑定料

【成年後見等開始申立の費用】

【作成費用】 消費税込み
報酬 \55,000~ 
裁判手続費用 \10,000程度 (申立手数料、登記費用、予納郵券)
        鑑定ありの場合 \50,000程度追加
実費等 戸籍謄本等、必要書類の取寄費用

(注)成年後見人受託の場合の報酬は、家庭裁判所の審判により決まります。
    後見事務遂行に必要な交通費、通信費等の実費額は本人負担となります。

 

11-5.任意後見制度に関して

1.任意後見制度について
本人の判断能力が不十分となる前に、本人が後見人、及び後見人に与える権限を決めておく
制度です。
本人の判断能力が衰えたとき、家庭裁判所が、任意後見監督人を選任して、任意後見がスタ
ートします。

2.任意後見契約について
任意後見制度を利用するには、公正証書で任意後見契約をする必要があります。
契約する内容は、任意後見人になる人と、今後のライフプランをもとに、任意後見人に依頼
したいこと{代理行為目録)、及び任意後見人の報酬などを契約書の原案とします。
この契約書原案を公正証書とし、その内容が登記されます。
契約締結後は、本人の判断能力が低下した段階で、申立により任意後見監督人が選任され契
約が発効します。

3.任意後見監督人の職務について
任意後見人が、本人の意向に従って後見事務を実行しているか、任意後見人の行動を監督し
ます。
また、定期的に家庭裁判所に報告したり、利益相反の場合や任意後見人が病気など急迫な事
情があるときは、本人を直接、代理することになります。

4.任意後見契約4つのパターンについて
①将来型 →将来、判断能力が低下した時に支援をしてほしい方は、任意後見契約とあわせ
      て、「見守り契約」を締結した方が良いでしょう
      見守り契約→任意後見契約

②段階形 →将来、身体が不自由になった場合、判断能力が低下していなくとも支援をして
      ほしい方は、任意後見契約とあわせて、「見守り契約」+「財産管理委任契約
      」を締結した方が良いでしょう
      見守り契約→財産管理委任契約→任意後見契約

③移行型 →判断能力はしっかりしていても、身体が不自由であったり、日々の財産管理に
      不安のある方は、任意後見契約とあわせて、「財産管理委任契約」を締結した
      方が良いでしょう
      財産管理委任契約→任意後見契約

④即効型 →すでに判断能力が不十分な方は、任意後見契約と同時に、発効させることも可
      能です。しかし、本人に契約をする能力があるかどうかが問題となる場合があ
      りますので、法定後見制度を利用した方が良いでしょう
      任意後見契約のみ

1.任意後見契約時の費用

【手続費用】 消費税込み
報酬 \110,000~ 
公正証書費用 \20,000程度
実費等 戸籍謄本等、必要書類の取寄費用


2.任意後見監督人選任申立の費用(書類の作成)

【作成費用】 消費税込み
報酬 \55,000~ 
裁判手続費用 \10,000程度 (申立手数料、登記費用、予納郵券)
実費等 戸籍謄本等、必要書類の取寄費用


3.任意後見人、任意代理人の費用

【費用】 消費税込み
報酬 任意後見人、任意代理人
    契約内容により定まる。
   (詳細は、下記価格表参照ください)
任意後見監督人
    家庭裁判所の審判により定まる。  
実費等 事務遂行に必要な交通費、通信費等

 

 

11-6.任意後見に付随する契約について

1.見守り契約
見守り契約とは、本人の判断能力が十分なのかどうか、任意後見契約受任者が、定期的に本
人と連絡を取り合い、見守りを行う契約です。
見守り契約を締結しておけば、本人の異変にいち早く気づき、適切な時期に、任意後見契約
を発効させることができます。

2.財産管理委任契約
財産管理委任契約とは、判断能力が十分な時から任意後見受任者の支援を必要とする場合に
、見守りだけでなく、代理権を与えて財産管理を委任する契約です。
判断能力はしっかりしていても、身体が不自由な方や、財産管理が不安な方むけの契約です。
本人の判断能力はしっかりしていますので、任意後見受任者の監督も本人が行います。

3.死後事務委任契約
死後事務委任契約とは、本人が死亡した後に、本人の希望する手続を委任する契約です。
本人が死亡すると任意後見契約は終了しますので、葬儀、埋葬、諸届け、親族等への連絡、
家財道具の処分などは任意後見人の事務の範囲外となります。このため、これらの事務を委
任するのが死後事務委任契約となります。
遺言書でも同様のことを行うことが可能です。

【任意後見に関する各種報酬】

【報酬】 消費税込み
各種契約手続の報酬 任意後見契約            \110,000
見守り契約を同時に契約       \33,000加算
財産管理委任契約を同時に契約    \55,000加算
死後事務委任契約を同時に契約    \55,000加算
任意後見人・任意代理人の定額報酬(代理権の範囲で行う日常業務) 資産額1000万円以下       月額\22,000
資産額3000万円以下       月額\33,000
資産額5000万円以下       月額\44,000
資産額1億円以下          月額\55,000
資産額1億円を超える場合      月額\66,000~
任意後見人・任意代理人の個別報酬(代理権の範囲で行う非日常業務) 不動産の処分に関する契約事務    \55,000+価格の2.2%
                  上限\165,000
不動産の管理に関する契約事務    1契約\22,000~
民間有料施設入所契約事務      1契約\132,000
その他契約文書作成事務       1件22,000   
見守り契約定額報酬 月1回1時間程度の訪問面会     月額\16,500~
月1回電話による確認        月額\5,500
死後事務委任報酬 要相談               上限\770,000