個人再生

17.個人再生について

個人再生とは、住宅ローンを含めた多重債務に苦しむ個人に対して、マイホームを残しなが
ら経済的に立ち直るための法的な債務整理の方法です。

個人再生は、住宅ローンを除いた借金を、今後3年間で分割返済する一定のルールにより作
成した再生計画案が裁判所に認められると、残りの債務が免除されるため、元本を大幅に減
額することができます。

ただし、定期的な収入がある人でないと利用できず、持ち家・日常の家財道具を除いた財産
(車、保険解約返戻金、退職金見込額などの清算価値)が大きい人は、返済額も大きくなり
ます。

本ページの内容(項目をクリックすると表示されます)
 17-1 個人再生3つの方法
 17-2 個人再生のメリット・デメリット
 17-3 個人再生メモ

 

17-1 個人再生3つの方法

1.小規模個人再生
条件1 ある程度定期的な収入がなければなりません。個人事業主でもサラリーマンでもか
    まいません

条件2 住宅ローンを除いた借金の総額が5000万円を超えない個人であること

条件3 裁判所の手続の中で、申立人の再生計画案に対し、債権者の過半数の同意が必要に
    なります。

返済額 ①最低弁済額(住宅ローンを除いた借金の総額の5分の1か100万円の多いほう)
    ②清算価値
    のいずれか多いほうを3年で返済していくのが原則となります。

2.給与所得者等再生
条件1 サラリーマンなどの給与所得者で、かつその給与の変動幅が少なくなければなりま
    せん。個人事業主は利用できません。

条件2 住宅ローンを除いた借金の総額が5000万円を超えない個人であること

返済額 ①最低弁済額(住宅ローンを除いた借金の総額の5分の1か100万円の多いほう)
    ②清算価値
    ③可処分所得額(手取り収入から最低生活費を控除した額)の2年分
    のいずれか多いほうを3年で返済していくのが原則となります。
    可処分所得額の2年分の方が高額になってしまう場合、「1.小規模個人再生」を選
    択した方が良い場合があります。

3.住宅資金貸付債権(住宅ローン)に関する特則
・個人再生の手続きを申し立てていれば、すべての人が利用できることになりますが、住宅
 ローンの返済に関しては、元本や利息のカットは認められません。
・遅延損害金の一部免除、返済期間の延長は認められますが、今までと同じように返済して
 いかなければなりません。
・個人再生による返済を続けながら、住宅を手放す必要はありません。

 

17-2 個人再生のメリット・デメリット

個人再生のメリット
 1.元金自体を大幅に減額することができる。
 2.自己破産のような持ち家を手放す必要がない。
 3.借金の原因がギャンブルや浪費であっても利用できる。
 4.自己破産のような職業制限がない。
 5.再生手続開始後の利息は全額免除される。

個人再生のデメリット
 1.定期的な収入がないと利用できない。
 2.手続き費用が、任意整理、自己破産と比較して高額である。
 3.任意整理に比べて、手続きに時間がかかる。
 4.借金の減額はできるが、減額された債務を継続して(3年間)支払っていけない場合は
   、利用できない。
 5.住宅ローンの債権者以外の債権者に住宅に担保権を設定されている場合、住宅ローン
   特則が利用できない。
 6.個人情報が官報に掲載される。

 

17-3 個人再生メモ

1.取立てについて
 個人再生手続きにおいて、司法書士などの専門家が受任すれば、債権者からの請求や督促
 は止まります

2.小規模個人再生における返済額の具体例
 (例1)債務総額300万円、車50万円、退職金見込み額の8分の1が40万円の場合
    ①最低弁済額 300万円×5分の1=60万円 → 100万円
    ②清算価値=50万円+40万円=90万円
         ↓
    100万円を3年で返済・・・2万7778円/月の支払い
 (例2)債務総額300万円、車50万円、保険解約返戻金80万円、退職金見込み額の8分
    の1が40万円の場合
    ①最低弁済額 300万円×5分の1=60万円 → 100万円
    ②清算価値=50万円+80万円+40万円=170万円
         ↓
    170万円を3年で返済・・・4万7223円/月の支払い

3.手続期間について
 個人再生申立から手続終了(認可確定)まで、6か月~9か月程度かかります。それに加
 えて、最初の受任から個人再生申立まで、家計調査表作成期間(申立前3か月分が添付書
 類)、及び予納金等の積立て期間が必要となります。

4.手続費用の準備・工面について
 受任から手続終了まで、住宅ローン以外の借金の返済を止めることができるので、再生計
 画後の返済予定相当額を毎月積み立てる方法(受任司法書士への預け金)があります。具
 体的方法はご相談ください。

5.個人再生申立に際して準備する書類等
 依頼者の方に準備していただく書類等は、
 ・債権者に関する資料すべて
 ・収入に関する資料(給与明細表、源泉徴収書、所得証明書)
 ・清算価値に関する資料(預貯金通帳すべて、退職金見込額証明書、車の査定書、車検証
  、保険証券、保険解約金返戻金証明書など)
 ・家計調査表
 ・住宅ローン返済計画書

6.再生計画通りに返済できなくなった場合
 失業などやむを得ない事情により再生計画どおりに返済できなくなった場合は、支払期間
 の延長が可能です。ただし、基準はかなり厳しいので、容易に変更できないと考えたほう
 が良いでしょう。

7.保証人について
 債務者の借金が減額されても、保証人は影響を受けず、保証人は借金全額の返済義務が残
 ります。

【個人再生の費用】
  消費税込み
報酬     (個人再生) \165、000~   (※1)
報酬     (住宅ローン特則利用時) ¥55,000(上記個人再生報酬に加算) (※1)   
実費等 約¥230,000
裁判所予納金、申立手数料、予納郵券、官報公告費用、各種証明書取得費用など

(※1)報酬額部分の分割払い可(要相談)